Dental Life Academy

はじめましてDental Life Academy管理人のラッコです。当ブログでは現役歯学部生による歯科、歯学部への疑問を解決していきます!趣味の写真、読書についても書くのでそちらもどうぞよろしくお願いします。

矯正治療の仕組み

はじめに

皆さん、矯正治療において歯の動く仕組みを知っていますか?
正治療をしている人はわかるかもしれませんが、矯正用ワイヤーを歯につけ、引っ張る力で動いてるんじゃないの?と想像できると思います。確かにその考え方は正解です。

でも考えてみてください。歯は骨に埋まっています。その歯がどうして引っ張る事で動いていくのでしょうか?また動く時に歯が抜けてしまうことは無いのでしょうか?


歯の動く仕組み

ワイヤーで歯を引っ張ると、歯によって圧迫された側の骨に吸収が生じます。逆に、歯に引っ張られる側の骨には骨の追加が生じます。この反応が少しずつ起こることで歯が移動していくのです。
細かく説明すると前者の骨の吸収に破骨細胞(骨を吸収する作用をもつ細胞)、後者の骨の追加に骨芽細胞(骨を作る細胞)が働くことで、少しずつ歯の移動が行われています。
引っ張る力が強いほど歯の移動が早くなると想像するかもしれませんが、この破骨細胞と骨芽細胞の働くバランスによって歯の移動が行われているので、患者さん一人ひとりに合った力加減を加えなければ上手く移動は行われません。
力を加えすぎると、歯の根っこの吸収が起きる、歯にぐらつきが出てくる、歯の移動が遅くなるなど悪い作用が生じてしまいます。
適度な力を加えていく為に毎月患者さんに通院して頂く必要があるのです。

正治療に時間がかかる理由

正治療には歯の移動だけでも多くは2年、また歯の固定期間でも2年以上かかります。
歯の移動に2年ほどかかるのは上述したような骨の吸収と骨の追加によって歯の移動が行われるためです。歯の固定期間では移動した歯の周りの骨の硬化度(硬さ)を安定させる期間となります。移動し終わった直後の歯の周りの骨の硬さは弱いため、歯が安定しません。固定期間がしっかり行われなければせっかく綺麗に並んだ歯もまたずれてしまいます。
矯正器具が外れても通院を継続しなければならない理由はこのためです。

歯科矯正による副作用

一時的なもの

目に見える副作用として歯ぐきの変化歯並びの変化があります。
歯の移動に伴い歯ぐきも形を変えていかなければなりません。歯の動くスピードと歯ぐきの形の変化のスピードが揃わないと一時的ですが、見た目の悪い状態になります。
以前の記事にも書きましたが、歯並びを直すにはまず歯の収まるスペースを確保しなければなりません。そのため一時的にすきっ歯のような状態になってしまいます。
dental-life-academy.hatenablog.com

永続的なもの

目に見えないが永続的なものとして歯根の吸収があります。上述で歯を引っ張る力が強すぎると歯の根っこの吸収が生じると言いました。矯正治療において大小様々ですが、歯の根っこの吸収は生じることがあります。大きく吸収してしまうのは歯のぐらつきに影響しますが、少しの吸収ではなんの問題もないので安心してください。
歯根の周りには歯根膜と呼ばれる膜によって包まれています。この膜と歯の埋まっている顎の骨との間の線維によって強固に繋がっている為、多少の歯根の吸収は歯のぐらつきに影響を与えません。

最後に

どうでしょうか。矯正治療の仕組みはわかりましたか?
私自身も3月から矯正治療を始める予定です。歯学生の視点から矯正治療中に感じたことがあれば記事にしていくのでぜひ今後も見に来てください!

では、また次回!

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